人間ってイーナ

イーナくんの妄想置き場

Differential Forms in Algebraic Topologyの復習 Chapter1

 いわゆるBott Tuと言われる本、Differential Forms in Algebraic Topologyの復習したものを自分用にまとめてみようと思います(どうでもいいですがトゥー多様体の帯に世界的名著Bott Tuって書いてあるのウケますよね、人と話す中で特定の人名が教科書として扱われることはよくありますが真面目な本の帯で書かれているとシュールです)。

 

 2022年春の数物セミナーから読み始めたのですが今のところまだChapter3(まだ全体の6割くらい?)で終わる気配はありません。割とざっくりした書き方をしているところも多く適当に認めてしまっていた部分や見落とした行間などたくさんあるだろうということで復習することにしたわけです。

 

 とりあえず読む前に見ておくといいものとして(変わった人がBott Tuを読む前に参考にこの記事を見ているという可能性があれば)

 

youtu.be

 

 もなくゎさんの動画がおすすめです。これで僕はホモロジー(コホモロジー)を知りました。あとトゥー多様体(An Introduction to Manifolds)はTu先生自身がBott Tuに繋げるための多様体論の基礎ということで書かれた本なのでこちらも基本的にBott Tuを読むときに勧められるものだと思います。

 

Chapter1 de Rham Theory

§1 The de Rham Complex on R^n

 

 形式的にR^nの微分形式が導入されます。局所的にはもちろんこういう感じなのでR^nで分かっていればだいたい問題ないですが、気になればトゥー多様体を見ましょう。

 

 1次元、0次元のde Rhamコホモロジー&コンパクトコホモロジーの計算もします。コンパクトコホモロジーの場合の計算が単体ホモロジーの場合とかで係数足し合わせて写像を作り準同型定理を使うというノリと大体同じです。コンパクトコホモロジー積分を使うことが出来て嬉しいね!という気持ち。

 

 あとチェインマップと短完全列から得られる長完全列の話ですね。僕はこれで初めて完全列とか触れたので最初読んだときはなにがなんだかという感じでしたが読み直すとそれはそうということしか書いてないですね。短完全列から長完全列を得る部分については連結準同型だけ一応構成が書かれています、well-definednessはc=dc'である場合に通常のbの部分としてb-db'のようなものが取れてあとは左側の可換性とfの単射性から取れているaもexact formであることが分かるという感じです、完全性は面倒ですが頑張りましょう。

 

 最後にexercise1.7で締めなんですが、これがMayer-Vietoris系列を使わずに示せないんですよね……(なんならde Rhamコホモロジーホモトピー公理すら使ってる)。もう少しストレートに計算できないものかと考えていますが今のところ思いついていません。

 

§2 The Mayer-Vietoris Sequence

 

 smooth map f:M→Nによる引き戻しを定義する。ここもまだユークリッド空間での話です。Exrecise2.1.1は座標変換写像による引き戻しとの可換性でオーケーです。そのあとはちょろっと圏論の導入したあと、一応多様体の話をしてくれます(多様体と滑らかな写像の圏から次数付き代数への圏へと拡張するので)。そのあと書いてる1の分割は大事なので一回は追っておいた方が良いでしょう、一度追えばただの便利な魔法となります。

 

 いよいよMV系列。連結準同型がU上でρ_Vをかけ、V上でρ_UをかけるのはUかつV上の形式を拡張するときに端っこがおかしくならないようになんですが、最初見たときはなんで?なんで?ってなってましたね(連結準同型の前か、prop2.3ですね)。

 

 そのあとはS^1の計算です!パズルみたいで楽しいですね、MV系列。最後にコンパクト台のde RhamにもMVを作りに励みますが、ここでコンパクト台の複体を取るときに共変関手と見るか、あるいはproper mapに射を限定するかという選択を迫られます。共変関手を選択するのですが、これがあとでPoincare双対に繋がります。仮にproper mapの方にしたらどうなるんだろ?

 

 共変関手としたのでMVの向きは反対です。あとここでは明示的に連結準同型の形が与えられないですが、ノーマルde Rhamと同じ要領でどうなるのか分かるので考えましょう(0拡張するとd(ρ_Uω),d(ρ_Vω)ってなるやつって感じになります。ここでかけているのは素直にU上のやつにρ_Uとなっていますが今回はコンパクト台をUで持ってほしいのでこうなります)。

 

§3 Orientation and Integration

 

 積分するために向き付けの話をします。変換関数のヤコビアンがどこでも正になるようなアトラスが取れればいいわけですが、これはちびちびと進んでいってぐるっと回ると向きが変わってる!なんてメビウスなことが起こらないってことを言っています。そのあとに向き付け可能と体積形式の存在の同値性の話、(Φβ〇Φα^-1)*でdx1...dxnを通すとpositive mulitipleに移ると書いてますが、ここでいうpositive multipleとはどこでも正の関数との積に行くということです(明示的に書くならばまずΦβ*で送るとfβωに移されて、fβfαω/fαと書き換えればΦα^-1*でどこに行くかは明らかですね、ついてしまう正の関数はΦα^-1*(fβ/fα)です)。

 

 向き付け可能な場合の多様体上での積分の話が出ます。アトラスの任意性でも大活躍、1の分割。境界付き多様体の境界に向きが誘導されるという補題がありますが、最初に読んだときは2次元verしか示されていないので高次元むずいんかなあとかぼんやり考えてました。あほですね。結局考えるべきはn次の場合でもTnn(n行n列を除いた余因子行列)のヤコビアンなので同様にTn/∂ynが正であってTn/∂yi(i≠n)=0なので余因子展開を考えればTnnの方が正とわかるというだけの話です。

 

 最後はストークスですが、境界へ微分形式の向きを誘導するときに(−1)^nを付けるというのが良い仕事をしますね。割とやるだけという感じですが式自体はなかなかスマートです。かなりde Rhamの定理の本質っぽいことをすでに言っている感じですよね。境界を取ることと外微分をすることは積分を通じて仲良しになりますよという。これも多様体の場合に拡張するときに1の分割が大活躍ですね、愛しましょうpartition of unity。

 

§4 Poincare Lemma

 

 物理でもよく出てくるPoincareの補題です。ホモトピー作用素をうまく定めて証明を回しますが、これ基本天から降ってくるのでもう少し生やし方の発想を知りたいですね(まあファイバーでの積分はそれはそうという感じなので今回は良しとします)。応用としてde Rhamコホモロジーホモトピー公理(滑らかver)が示されます。ここでs1*がπ*の逆写像であるのは確かに明らかではあるのですが、この場合はホモトピー作用素積分は1からtにしないとですね。

 

 同様にしてM×Rのde RhamとMのde Rhamの同型を言っていますが、これはすぐには従いません(恥ずかしながらFFの方のツイートを見て気づきました)。チャート(Ua,Φa)によってUa×Rをユークリッド空間と同一視してこれの上でKを同様に定めます。そうすれば局所的にはユークリッドの場合と全く同じであること、結局積分に寄与しているのがRの部分だけなので変換がどうだの議論をする必要もなくwell-definedにKがM×Rで定まります。結局局所的な議論だけすればいいので問題はないのですが多少気を付けた方が良いことではありますね。

 

 そのあとはS^nのコホモロジーの計算ですが、被覆はS^n\南極 and S^n\北極と取った方がもう少し見やすいように思います。この場合共通部分はS^nから2点を除いた空間になりますが、1点除いて立体射影でR^nになったのでここからさらに1点除くと思えばS^n-1の幅あり空間とホモトピー同値になりますね。コンパクトコホモロジーのPoincareですが少し手間が増えるだけで基本は同じ事です(こっちではMで証明を行っているので上の話と同様局所的にはそう書けるのでという話が必要です)。

 

 最後にproper mapと写像度の話。proper mapがclosed mapというのは局所コンパクトハウスドルフなのでf(A)^cの任意の点について閉包がcptな開近傍があって閉包を戻してきてこの近傍とf(A)と共通部分が生まれそうなところを除外して……ですね。コンパクトコホモロジーの生成元がどう飛ぶかというので写像度の話が出ます、正則値の逆像についても言及されていますが、この辺りはミルナー微分トポロジー講義を読むと気分がよくなります。コンパクト多様体全射なものとしておきますが正則値の逆像というのは被覆度のようなものなわけで巻き付き具合を図る写像度と同じものだと感じられるように思います。Sardの定理も載ってます(これもミルナーに証明がついてます)、多様体で拡張する場合は送る側さえ第二可算ならば測度0なf(C)を可算個とか雑魚ですねという話で拡張できます。

 

§5 The Mayer-Vietoris Argument

 

 good coverはありまあす!これを使って有限個のgood coverが存在するような多様体についてあれこれしていきます。まず第一は有限次元性、これはホッジ理論とか使って解析的な議論もできるらしいですが何も知りません。

 

 コンパクトコホモロジー&de Rhamのカップリング(積分)を定義することで5-Lemmaと合わせてPoincare双対を倒します。多様体のPoincare双対はわかりやすくていいですね、一応注意ですが明記されていないのに境界が空であること(有限性も合わせるとほぼ閉多様体)が必要です(具体的には積分のwell-definednessを示す部分で使わないといけないと思います)。

 

 次はファイバーバンドルを導入してキネット&ルレイハーシュの定理です。まずは自明バンドル(単純に積の場合、つまりはキネット)を示します。この場合は二つのprojectionのpullbackをwedgeすると同型ですよというナチュラルな感じの話だし、やってることも今まで通りです。ルレイハーシュは少しばかり特殊ですが各ファイバーで生成元になるようなものを取ってきて同型を作ります。各ファイバーに制限すると生成元になる……?なんだかお知合いな気がしますね。そうです!トムさんです!ちょっとうれしくなりました。

 

 最後は閉部分多様体に対してPoincare双対から対応するコホモロジーを取れるよねという話、これはk次元部分多様体に対してこれへのinclusion mapのpullbackをn-k形式にしてからS上の積分を行うこととPoincare双対から取れるcptコホモロジーとの線型形式を同一視してという話です。最初にやったときは「これは何?」だったんですが少しくらいは面白い感じがします。コホモロジーの交差数みたいなのが幾何的に見えそうでいいんですが肝心の交差云々をよく知らないので具体例が計算できずまだまだ僕にはここだけすごくずれた話をしているように感じてしまいます……

 

§6 The Thom Isomophism

 

 えーこの章のボスです。

 

§7 The Nonorientable Case